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熊野大学讃

 建物もなければ入試もなく、卒業は死ぬ時。
 ひとりひとりの人間が、自分の魂を解き放ち、
 あらゆる人が対等の立場で、自由に交信するところ、
 さまざまな人が集まり、それぞれのやりかたで、
 「熊野学」と取り組む。

 たとえば、熊野水軍。
 熊野の歴史に実在した、海賊であり軍隊であったもの。
 闇の海を開き、人と文化を運んだもの。
 熊野とじかにつながっていた、外国。貿易。交通。
 今は歴史に封印されてはいるが、
 きっと解放できると信じられるもの。

 われわれの、
 全ての人間の、魂の産み出したもの。
 これを携え、閉ざされた歴史を開き、
 広く世界に船出して行くところ。
 熊野大学。
 その出で立ちの場所。

【解説】太田出版『中上健次と熊野』に収録。熊野大学機関誌「熊野回廊」創刊号(1990年7月)が初出。開講式において、熊野大学学友会山本千賀子理事長が読み上げた。


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管理人:ラストバルーン
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